小学5年の時のクラスは、男子と女子の仲が悪かった。
成績上位のよいこグループは男女ともかかわらなかったが、下位の連中は何事につけ反発し合っていた。
女子の私は、男子の方が悪いと思っていた。
たとえば、男子が放課後の掃除をさぼって帰ろうとして、女子が「ちゃんと掃除していってよ!」と言うと、
「うるせえブスー!」と怒鳴って逃げるとかが典型的な事例。
中でも悪質な連中は、理由もなく女子を急に叩いてくる、教科書やノートを机からはたき落す、などをしてきて、
とがめると「ブスのくせに!ブスはしね!」とわめいてくるので、さすがに女子は閉口して担任に訴えた。
が、担任は「放っとけ。女子に構ってほしいだけだよ」と役に立たないので、
女子は自衛手段を取るべく秘密会議を開催した。
5年生ともなると男子の方が力が強いので、叩かれた時に叩き返したりしたらもっとひどい目に遭う。
女子としても殴り返したいわけではなく、何よりまずブスブス言うのをやめてほしいので、その対策に絞った。
女子も容姿を気にしだす年ごろなので、男子が勢いで言っているだけとわかっていても傷つく。
では、男子にも傷つくような言葉で罵ってやればいいんじゃないかという意見が出た。
しかし男子にブスと言っても、女子に使う言葉だと思っているからこたえないだろう。
そこで誰かが、「そういう時って『ゲソ』っていうんじゃないの?」と言い出した。
寿司ネタの「いかげそ」のゲソである。
今考えると、「げす」(下種・下衆・下司=品性が下劣なこと。また、そのような人やさま)
の聞き間違いというか子供だから覚え間違いだったんだと思う。
でもなんか、「ブス」に呼応するような音の響きと、「げっそり」と語感が似ていたりして、
良いような気がしてきたから、「ブス!」と言われたら「ゲソ!」と言い返すことにした。
本日のピックアップ(=゚ω゚)ノ
翌日の放課後、さっそく掃除をさぼる男子に注意したら「うるせえブス!」が始まったので、
女子の中で一番気の強い子が「うるせえゲソのくせに!」と怒鳴り返した。
男子は訳が分からなかったろうが、ともかくぎょっとして動きが止まり、
掃除はさぼったものの、こそこそ逃げて行った。
女子の間で「これは使える!」となり、でも一人で言うのは怖いので、男子に「ブス!」と言われたら、
女子は数人で結託して「あんたらはゲソ!ゲーソ!ゲソゲソ!」と3倍くらいにして返すようになった。
急速に男子はおとなしくなった。
実は私が一番ムカついていたのは、大声で罵られることではなく、通りがかりに小声で
「あんたホントにブスだね。親もブスなの?ねえねえ教えてよ」などとねちねち言ってくる奴だった。
なので言われた時、「ねえ、あんたってホントにゲソだね。親もゲソなの?ゲソ顔?」と、
同レベルのねちねち声で返したら、見事に言ってこなくなった。
やがて6年になってクラス替えがあり、そんな馬鹿なやり取りは自然消滅していった。
大人になった今でも、会社で男性社員にパワハラやセクハラじみた言動があると、
私は内心で「うるせえバカゲソが」とつぶやいて気分を収めている。
レスで突っ込まれそうなので、蛇足ですが書いておきます。
まず、小学校は県内で一番ガラの悪い地域にあり、当時、子供たちも荒れてました。今は移転してます。
そして、ゲソというのは「靴・下駄・草履など、履物のこと」あるいは「寿司屋などでイカの足のこと」を表わし、
男性の容姿が醜い・不細工という意味はありません。
イカゲソには何の罪もありません。むしろ好きな寿司ネタです。
それだけに、罵り言葉というものは、自体に意味はなく、それを発する感情で意味をなすのだと思った出来事でした。
租ものとかド早漏とか親指サイズとかスピードスターとか解消なしとかヒモとか色々罵倒用語はあるのにね
と考えてる甘やかされた男は少なからずいる。
その男子たちは反撃の内容ではなく反撃された事実そのものに驚愕したんだと思うよ
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