食い逃げしたことがある。
たぶん食い逃げだったと思う。
20代前半のころ、職場の近くでチェーンの居酒屋がオープンした。
初日は全品半額だっていうので、若手社員10人近くで、飲みに行った。
居酒屋は2フロアに分かれていて、私たちは上のフロアの座敷席に案内された。
そしてまず飲み物と、料理をかなり注文した。
飲み物はすぐに来た。
でも、料理は全然来なかった。
私たちの後から、座敷席に2グループ、お客さんが来た。
その人たちのところには、飲み物も出てないようだった。
「今日は半額セールですごく混んでるから、あまり急かしたら悪い」
と思って大人しく待っていたけれど、一時間くらい待ってもまだ来ない。
通路の近くに座っていたAが、ウェイトレスを呼び止めて
「ずっと待ってるんですが、まだでしょうか」
というと、ウェイトレスは
「確認してきます」
と言って、(たぶん厨房の方へ)行った。
すぐに戻ってきて、
「すいません、伝票が見当たらないので、もう一度注文をお願いします」
Aは私たちの方を見て
「もういいよな?」
うん、もういいね。
ということで、私たちは帰ることにした。
本日のピックアップ(=゚ω゚)ノ
私たちが立ち上がると、座敷の他の2グループも立ち上がった。
出入口は下のフロアに一つしかないので、階段を下りた。
下のフロアのお客さんたちのテーブルには、飲み物や料理が並べられていた。
ふーん、上のフロアはガン無視で、下のフロアの人にだけちゃんと接客してたんだ・・・
レジは店の奥にあったので、代表でAが代金を払いに行き、A以外の人たちは入り口の近くで待っていた。
大して時間もかからずに、Aが戻ってきた。なんかニヤニヤしながら。
「いくらだった?」
と聞くと、やっぱりニヤニヤしながら
「いいからいいからw」
「いや、でも」
「いいからいいからw」
ずっとAはニヤニヤしてた。
私たちも、(まあ、いいか)と思って、そのまま店を出た。
もちろん店側が「伝票をなくしたのはこちらの手落ち、ずいぶんお待たせもしてしまいましたし、お代は結構です」
と言った可能性もある。
でもAのニヤニヤを見ると、たぶん食い逃げだろう。
私が黒いと思うのは、食い逃げそのものより、その場にいた全員がまったく罪悪感を持たなかったことの方。
今でもあれは、店側が悪かったと思っている。
この記事へのコメント
伝票がないなら支払いしたくても精算できんでしょ。
食い逃げではないよ。
食い逃げじゃないどころか、散々待たせて出て来なかった食べ物をその後どっかに寄って腹に入れなきゃいけない訳で。その分の食事代出して貰ってもいいくらい。
時間を無駄にするのが一番高いんだよ。